リース契約の闇 ー 料率の差でディーラーに儲けが出る?
リースとは?
会社でつかう事務機器や車をリースすることはよくあることである。例えば100万円の車を5年リースで契約したとすると、リース会社はディーラーに100万円を一括で支払い、契約者(つまり車の使用者)は、リース会社に毎月リース料を5年間支払う。
このリース料には当然利息が含まれるので、契約者は100万円の車を購入しても、5年間の支払総額は100万円を超えることになる。
リース料の決まり方
前述の例で100万円の車を5年リースした場合を考える。月々のリース料は商品の価格(P とする) に、リース料率(r とする)と呼ばれる数値をかけたものである。式に表すと、
月額リース料 = P × r
P 円が一括でリース会社からディーラーに入り、契約者はP× r 円を毎月リース会社に支払っていく。つまりリース会社が商品代金を立て替えてディーラーに払って、それを契約者は5年間かけて分割で支払っているようなものだろうか。
例えば、5年リースの料率が r = 0.018 であったとすると、100万円の車の月々のリース料は、
P × r = 1,000,000 × 0.018 = 18,000 円
となり、5年間のリース料の支払総額は、
18,000円 × 12か月 × 5年 = 1,080,000円
となる。100万円との差額8万円がリース会社の儲けである。
闇1 ー 契約者にリース料率は教えない
リース料率は金利にかかわる部分であって、契約者にとって関心があるところである。しかし、たいていのリース会社は、契約者に対して、自分がどんなリース料率で契約しているかを教えてくれない。リース契約者がわかるのは月々のリース料だけである場合がほとんどである。
そうすると、ディーラーは何ができるのか、が問題となる。
闇2 ー ディーラーがリース料率を交渉する
ディーラーから100万円の車の月々18,000円のリース料で5年契約だと伝えられ、あなたが納得したとする。そうするとこの場合の料率は、上で述べたとおり0.018である。
しかし、ディーラーは、あなたと契約書を交わした後、リース会社と料率を交渉して0.017に下げてもらったとしよう。そうすると、あなたの月々のリース料は、
1,000,000 円 × 0.017 =17,000円
となるはずである。
しかし、ディーラーはリース会社が料率を下げてくれたことをあなたに教えない。そうすると本来なら17,000円のリース料で済むところを、あなたは18,000円も払わされるハメになる。つまり、あなたは損をすることになるのである。
一方の当事者が損をすれば、他方の当事者は得をするのがふつうである。つまりディーラーが得をするのである。結論を先に言うと、この場合ディーラーは100万円の車を売ったにもかかわらず106万円もの売上を手にすることになる。
このカラクリは以下のようである(ちょっと面倒くさい)。
リース料の決まり方をおさらいをすると、商品代金 P と料率 r で
月額リース料 = P × r 円 ・・・(式1)
となるのであった。 P円が商品代金だから P円がリース会社からディーラーに支払われる。今の例では P=1,000,000円 がディーラーに入るはずである。
しかし、料率がこっそり下げてもらってr = 0.017となったとしたらどうだろう。あなたが払う月額リース料は18,000円は変わらないので、上の(式1)は、
18,000 = P × 0.017
となって、これをP について解くと、
となる。P 円が商品代金なので、これがリース会社からディーラーに支払われるの。すると、本来の売り値より6万円ぐらい多くディーラーに入るのである。
実際に、ノルマに追われるディーラーはしょっちゅうリース会社に料率を下げるように交渉し、リース会社も0.001ぐらいの料率ならすぐに下げてくれる。当然、料率が下がったことは、お客に教えずこっそり自身の利益にしているのである。
このように、リースに限らず金利が絡むところには影の部分が必ずあることを忘れてはならない。